EVENT 2020.12.11

東京藝術大学「芸術運営論I 著作権と文化・メディア契約」講義にて、弊社代表・野田がゲスト登壇しました

東京藝術大学 音楽環境創造科の「芸術運営論I 著作権と文化・メディア契約」講義にて、弊社代表・野田が「音楽と著作権」というテーマでゲスト登壇しました。今回は、広報担当の續(つづき)が当日の様子をレポートいたします。

 

はじめに、講師である福井健策弁護士より、既存の音楽に関わる著作権のお話しがありました。福井弁護士は芸術・文化法、著作権法を専門とされていて、各ジャンルのクリエイター、プロダクション、劇団、劇場、レコード会社、出版社などをサポートされています。

 

その後、弊社代表の野田が登場し、TuneCore Japanを運営する立場から、現在の音楽業界について語ります。ちなみに、TuneCore Japanを知っている生徒は全体の4分の1。友達が使っているという生徒もいましたが、残念ながら4分の3は知らないということで、TuneCore Japanについて簡単に紹介するところからスタート。TuneCore Japanは、主要な聴き放題サービスに音楽を配信できるサービスの一つですが、世界でも珍しいアーティスト還元率100%を維持しています。その根底には「音楽をつくるアーティストが中心であるべき」という考えがあると言います。

 

若い頃から音楽が好きだった野田は、いろんなアーティストが音楽によって生活できるようになるための支援をするために、TuneCore Japanを立ち上げたそうです。「立ち上げ当初は音楽に関する権利についてわからないことも多かったので、とにかく本を読んだり人に聞いたりして勉強した。」と言う野田。歴史的に、資金がないとLPやCDを出すのは難しかったことから、音楽の権利に関わるステークホルダーは多く、複雑なのだそうです。しかし宅録などもできるようになった現在、アーティストが中心の、新しい権利の形を作っていくことに取り組みたい、と話します。

 

ここ数年で、大手のレーベルに属さない、インディペンデント系のミュージシャンがランキングにチャートインすることも増えました。(例えば、今年大ヒットした瑛人の「香水」も、配信サービスを使って配信された楽曲です。)しかし、それでもなお、日本の市場はCDなどの物理媒体が売り上げの高い割合を占める、特殊な状況が続いています。例えば、米国レコード協会が発表したレポートによると、日本の世界における音楽市場売り上げシェアは世界2位ですが、ストリーミングに限定すると5位になっています。

 

野田が起業に際して、もう一つの意識していたのは、Wanoという社名の由来になった「日本のカルチャーを世界に発信する」ということです。そのためにも、世界におけるストリーミング移行のトレンドに、日本も乗り遅れない必要があります。例えば、「ピコ太郎」は、Youtubeから世界へ広がりました。ストリーミングでの配信やプロモーションをしっかりやることで、そういったことが音楽にも起きうると野田は考えます。

 

講義の最後は、生徒からのQ&Aで締め括られます。「音楽を仕事にしたいと志す人へのアドバイスは?」という質問に、野田は次のように答えました。

 

「僕のように日本の音楽業界を盛り上げたい人間からすると、音楽業界を志す人は宝です。その情熱は持ち続けてほしい。それにプラスして、これから必要になってくるのは、ネットリテラシーやITを使いこなせる力だと思います。若い人は努力しなくてもそのスキルを持っている可能性がありますが、そこをなるべく伸ばして欲しい。音楽の流通経路が変わっていくにつれて、プロモーションの仕方も変わってくるでしょう。今までのやり方は通用しなくなってくる。ITを使った音楽を配信するまでの仕組み、SNSやキュレーターを活用したプロモーション方法を考えられる人は、これから重要になってくると思います。」