INTERVIEW 2023.3.30

より良いプロダクト開発のために。TuneCore Japanが、プロジェクト管理ツールをNotionへ移行した理由と工夫したポイントとは?

2012年のローンチ以来、インディペンデントなスタンスで活動する独立系のアーティストをサポートするためにサービスを拡大してきたTuneCore Japan。サービスの成長と世の中の変化に対応するため、常に機能の改善や追加を進めていますが、それを開発しているのがエンジニアチームです。今回は、昨年エンジニアチームが行ったプロジェクト管理ツールのNotion移行について、それを推進したエンジニアチームのマネジャーと、実際に使うエンジニア二人に話を聞きました。(聞き手:広報ツヅキ)

<今回インタビューに答えてくれた3人>

翔吾郎(@shogoroy
TuneCore Japan開発チームのマネジメントを担当。今回の移行プロジェクトについては、Qiitaにてより細かい技術的なブログとテンプレートを公開中

しべ(@shibe
TuneCore Japanバックエンドエンジニア。プライベートではバンド活動も行う。

まさふみ(@masafumi330
TuneCore Japanバックエンドエンジニア。プログラミングができる環境を求めて、昨年Wanoに転職。

導入成功のポイントは、細かい情報共有とメンバーからのフィードバック

ツヅキ:
どういうきっかけでこの移行プロジェクトが始まったのでしょうか?

翔吾郎:
去年の年明けに、”タスク管理をJIRAからNotionへ移行できたらいいな”と考えついたのがきっかけです。JIRAには2018年からの累計で万単位ものチケットが貯まっていたのでいきなりは難しいだろうなとは思っていましたが、会社組織全体のプロジェクト管理はNotionでやっていたので、それを管理する自分としてはNotionとJIRAとの情報を互いに反映する必要があって、その二重管理状態をなんとかしたかったんです。Notionでプロジェクト管理をするのはまだ一般的ではなかったですが、そういう動きが出てきているのも知っていたし、Notionはかなりカスタマイズができるサービスなので作り込めばなんとかなりそうかなというイメージがありました。

2−3月くらいからは、毎週の定例会議で、”こういうことを考えている”というのをちょっとずつ伝えるようにしていました。実際にチームへ導入する前に、一旦は自分だけでトライアルしてみて、いけると思ったので5月のプロジェクトで初めて導入しました。そのプロジェクトで大きなトラブルなく使えたので、12月からはエンジニアチーム全員のタスク管理で使うことになりました。

ツヅキ:
移行って大変なイメージがありますが、メンバー側からは使いにくいという声はなかったんですか?

翔吾郎:
いきなり導入しますとアナウンスしたのではなくて、検討段階から定例ミーティングなどでちょっとずつ情報共有できていたのが良かったのかなと思います。その中でプロダクトマネジャーやチームのエンジニアから懸念点をもらうこともあったので、それを検証してまた報告したりを繰り返しました。みんな協力的で、割とスムーズに移行できたと思います。とくにしべさん、まさふみさんは自分で使い方を工夫してそれをフィードバックしてくれました。

まさふみ:
自分は5月に初めて使い始めたんですが、そこまでハードルは感じなかったですね。使う中で「完了のチェックボックスがあると便利だな」と思って、翔吾郎さんに伝えて実装してもらったりはしました。

しべ:
自分は12月からですが、同じく使いにくいとは感じなかったです。実は以前、プライベートでやっているバンドのタスク管理をNotionでしようとして挫折したことがあって。それまで使っていたTrelloからNotionに移行しようかと提案したんですが、メンバーに心理的なハードルがあったし、それ以上のメリットを伝えれなかったのが原因だったなあと思います。でも今回の移行を参考に、翔吾郎さんのテンプレートを活用してバンドでも使い出したんですよ。

Wanoエンジニア

二重管理工数がなくなっただけでなく、想定外の使いやすさも

ツヅキ:
移行して便利になった点と、工夫ポイントを教えてください。

翔吾郎:
別管理だったNotionとJIRAのプロジェクトが一元管理できるようになったので、その二重作業がなくなったのは大きいですね。

JIRAでは、主にタスクに対してワークログ(何時間何の作業したか)をつけるという使い方をしていたので、Notionでもそれを実現するためにタスクとワークログ、プロジェクトを別データベースにして関係付けるという方法を取りました。プロジェクトとタスクとを一つのデータベース内でタグなどでラベル付けする管理方法ではなくそもそものデータベースを分けた理由は、プロダクトマネジャーはプロジェクトから見たい、エンジニアはタスクから見たいというようにそれぞれ確認したい単位が違うからです。一方、CTOのルーさんや自分といった管理側は、ワークログをもとに開発が効率的に行われているかということや、見積もりと実績との差分などのコスト面を振り返る必要があります。いろんな立場の関係者のニーズがちゃんと実現できたので良かったです。

Notionタスク管理

ツヅキ:
使うエンジニア側としてはどうですか?

まさふみ:
便利なのは、タスク単位でメモのような情報を追加することができる点です。JIRAでもできるんですが、ちょっとやりにくかったんですよね。そこに情報を溜めるようにすると、その作業に関する情報が一元管理できるので、すごくわかりやすいです。

あとは、マイページのビューを変更して、タスクをカンバンビューにしてチェックボックスを入れることで、自分が持ってる作業がどれくらいあって、今日はここまで終わらせようということが直感的にわかるようになります。これは他のメンバーでも使っている人が多いんじゃないかと思いますね。でもマイページを一番カスタマイズしてるのはしべさんです!

しべ:
自分はダッシュボードのような感じで使いたくて、マイページを開いたら業務に必要なものが全部そこにある状態を目指しています。自分ルールや今月の目標を入れて毎日目に止まるようにしていたり、日常思っていることをメモして一週間の振り返りの時に共有できるようにしたり・・Notionがもし開けなくなったら本当に困ると思います(笑)

ツヅキ:
それぞれが使い方を工夫してるのがいいですね。そういう使い方はチームで共有するんですか?

しべ:
そうですね、MTGで画面共有する時とかに「これ使いやすいよ〜」みたいな感じでカジュアルにみんなシェアしています。さっきもまさふみくんの画面を見て「そこはタブで表示にしているんだ、使いやすそうだな」と思いました。それぞれやりやすいやり方が違うので、マイページでそれをカスタマイズできるのがメンバー目線だとありがたいです。

翔吾郎:
メンバー側もより使いやすくアレンジしたり自己管理が活性化したのは想定外でした。カスタマイズ性の高いNotionならではの使い方をみんなが工夫するようになったからだと思います。

Notionタスク管理

「チーム全体の効率」「管理の効率」「個人レベルでの進めやすさ」を改善し、より良いプロダクト開発へ

ツヅキ:
移行はプロダクト開発にも好影響をもたらしそうですか?

翔吾郎:
効率的にプロダクト開発をするためには、「チーム全体の効率」「管理の効率」「個人レベルでの進めやすさ」が必要だと思いますが、今回の移行を通じて「管理の効率」「個人レベルでの進めやすさ」がすでに改善しているんじゃないかなと思います。

また、個々人がそれぞれの裁量で細かくタスクを分割しやすくなり作業の見積り精度が上がったことで、想定外のタスクが表面に現れるようになりました。つまり、タスクが遅れている場合、単にある作業が遅れているのか、見えてない作業があったのかというのが切り出せるようになったんです。こうして見える化した想定外のチケットをプロジェクトの中でいかに減らしていけるかによって、「チーム全体の効率」も上がっていくと考えています。

しべ:
エンジニア側からすると、自分が何をやればいいのかが明確になることが効率的な開発につながるなと実感しています。また、チームの状況がわかるビューを作ることで、以前にも増して相談したりしやすくなりました。

ツヅキ:
今後こういう使い方をしたい、などあれば教えてください。

翔吾郎:
以前より、月次でメンバーとワークログを見ながら1 on 1をしています。Notionは数値のまとめやグラフ表示がやや苦手なので、Notion APIを使って集約したデータをLooker Studioなどの別のツールを用いてビュー化しているのですが、ビュー自体の個々でのカスタマイズや各自での自己振り返りがより習慣化するような仕組み作りができたらと思っています。チームレベルでも個人レベルでも、どういう振り返りをすればより良いプロダクト開発につながるかを考えていきたいです。

Wanoエンジニア

以前より、いろんな仕組みやツールの導入を積極的に行う翔吾郎さん。しべさん、まさふみさんをはじめとするチームメンバーの協力的な姿勢と、Wanoならではの新しいものに対して前向きな雰囲気が印象的でした。ありがとうございました!

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