COLUMN 2026.1.30

Wanoが続けてきた“エンジニアの学びの場”とは? — Wano取締役/EDOCODE CTO 加藤 敦 インタビュー

エンジニア組織にとって、「学び続けられる環境」があるかどうかは、働きやすさや成長に直結する重要な要素です。

“日本から世界へ独創的なプロダクトを創る”ことを掲げるWano Groupには、Wano本体、EDOCODE、TuneCore Japan、STYLICTIONと、4社それぞれに所属して自社プロダクト開発を行うエンジニアが多数在籍。グループ全体を通して、アドベントカレンダーやLT会といったエンジニアの成長のきっかけにつながる取り組みが、社員主導で長年続けられています。

今回は、Wanoの立ち上げメンバーであり、現在はWano取締役とEDOCODE CTOを兼務し、CTOながらバリバリのプレイングエンジニアである加藤に、Wanoにジョインした経緯からWanoのエンジニア文化、そして“育成”に対する考え方までを聞きました。

(聞き手:ナカイ)

Wano立ち上げのきっかけは「一緒にやろう」の一言から

—— まず、加藤さんがWanoに入った経緯から教えてください。

加藤:もともと僕は、アドウェイズという会社でエンジニアをしていました。そこで、今のWano代表取締役の野田と一緒に働いていて、彼が会社を立ち上げるとなったときに声をかけてもらったんです。「一緒にやろう」という、割とシンプルな流れですね。

当時野田が「サブカルチャーに関わるビジネスをやりたい」と言っていて、僕も演劇などが好きだったので、「面白そうだな、一緒にやってみようかな」と思ったのがきっかけです。

哲学専攻からエンジニアへ。原点は“子どもの頃のパソコン体験”

——前職のアドウェイズでもエンジニアだったかと思いますが、 加藤さんは大学では哲学を専攻されていたんですよね。エンジニアとはかなり違う分野だなと。

加藤:そうですね。特に学校などで本格的にエンジニアに関する勉強はしたことがないんですけど、プログラミングの経験自体はずいぶん前からありました。

小学生の頃、たまたま家にパソコンがありまして。当時はクラスで1人もパソコンを持っていないような時代でした。それで、珍しさもあって自然とパソコンを触るようになったんですね。

最初は雑誌や教本に書いてあるコードを写して動かす、みたいなところからおもしろさを感じて。中学、高校と趣味でプログラミングを続けて、大学時代にはアルバイトでシステム開発をしていました。

—— 完全に独学だったんですね。

加藤:そうですね。「触って、試して、動かす」というのが楽しかったんだと思います。そういう体験がもとになり、今までずっとエンジニアとして仕事をしているという感じです。

CTOでも“現役”。今も開発の現場に立ち続ける理由

—— 現在はEDOCODEのCTOですが、今もプレイングで開発されていますよね。

加藤:はい、普通に開発しています。単純に開発できる人が少なかったというのが大きいですが、最近はシニア層のエンジニアも増えて、以前ほど僕が頑張らなくちゃいけないという場面は減りましたよ(笑)。

—— そんな中でも開発を任せきりにしない理由はありますか?

加藤:CTOだからコードを書かない、という考えはあまりないですね。現場の感覚を持っていないと、判断も難しくなると思っていますし。

社員主導で続く、アドベントカレンダーとLT会

Wanoでは、グループ全体のエンジニアの勉強会、アウトプットの場として、アドベントカレンダーやLT会(Dev Talk Community)が継続的に行われています。

—— これらは加藤さんが主導して始めたのですか?

加藤:今の形については僕が主導しているわけではないですが、以前から勉強会のようなことは継続して行っていました。現在は社員が中心になって、積極的にグループ会社も巻き込みながら自然に続いている、という感じです。

例えば、Webエンジニアの世界では、アドベントカレンダーというものがあります。12月の1日から25日まで、技術のネタだったり知識だったりを書くイベントなんですが、Wanoでも2016年から行っています。

他にも、LT会、WanoではDev Talk Communityと呼んでいるんですけど、月に1回、全社のエンジニアの前で発表してもらうという機会があります。これも社員が中心となって運営されており、数年間続いています。

基本すべて立候補制で、「この日書きます、発表します」と自分で手を挙げた人にお願いします。内容も自由。新人でもベテランでも何回目でも、やりたい人がやっています。

—— これらの目的はどこにあるのでしょう?

加藤:アドベントカレンダーについては、社外にも公開しているものなので、採用PR的な意味合いもあります。

「うちではこの技術を使っています」と書いて募集しても、実際どう使っているかは分かりづらいじゃないですか。でも、社員が書いた記事を見れば、「この技術スタックはこう使われているんだ」「こういう雰囲気の会社なんだ」というのが伝わりやすいかなと思っています。

あとは、全ての勉強会に共通する目的としては、アウトプットする機会の提供です。

アウトプットは知識や学びを自分の力に変えるもの 

—— なるほど…インプットだけでなくアウトプットすること自体の価値については、どう考えていますか?加藤さん自身で、アウトプットが役に立った経験などありますか?

加藤:基本的に、インプットしただけではなかなか力にならないと思っています。

アウトプットして初めて、自分の中に定着する。

エンジニアに限らないと思うんですけど、何かしらを人に説明する時って自分の理解力が問われると思うんですよ。ちゃんと理解してないと説明できないので、アウトプットに向けて自分の知識を整理したりフラッシュアップするっていう側面はあるかな。

だから聞いているより話す方がよっぽど勉強になると思います。

ただ、アドベントカレンダーを年1回書いたから十分、というわけでもないですよ。あくまでアウトプットのきっかけ作りと捉えてもらって、そこからどういう形であれ自分でアウトプットを続けてもらうのが理想です。

2025年のアドベントカレンダーはこちら

https://qiita.com/advent-calendar/2025/wano-group

 

—— 加藤さんご自身のアウトプット経験といえば、昔はブログを書かれていたそうですね。

加藤:はい。かなり書いていました。

内容はメモみたいなもので、新しく知ったことを残していただけなんですけど…でも、後から見返したり、誰かが困難に直面していた時、似たようなケースがブログにあったら「以前こうしたよ」と共有したりして役に立ちましたね。

形は問わないので、何かしらに書き出す、まとめるというのはやって損はない気がします。

ただ、最近はAIがアウトプットすることも増えました。AIのアウトプットをインプットして、自分の中で咀嚼し直すといったことも必要になってくるかなと思います。

「育成」よりも、「視野を広げる場」をゆるくつくる

——これまでお聞きしたことも含め、 Wanoはエンジニアの育成に力を入れている、という印象があります。

加藤:正直、「育成」という言葉には少し違和感があります。

Wanoでは完全な未経験者をエンジニアとして採用することはほぼなく、基本的には経験者の採用に力を入れています。 

なので、例えば開発に関わる技術を一から教え込むということはなかなかなく、エンジニアが広い領域に触れる機会をつくる、というイメージが近いですね。

アウトプットするメリットは先ほどお伝えした通りですが、自分が経験したことのない分野の話を聞く機会があると視野が広がりますよね。

エンジニアは学び続けなければならないので、そういう意味でも勉強会の価値はあると思います。

——勉強会がずっと続いている理由は他にもありそうですね。

加藤:そうですねぇ…勉強会って、実は自然消滅することも多いんですよ。上の立場の人間がやれって言ったり、参加を強制したり、業務時間外で実施したりすると、続かないんです。

Wanoでは社員がリーダーシップを持って、勉強会を運営してくれているというのが大きいと思います。

その中でアウトプットしたい人がアウトプットする。聞きたい人が聞く。そしてだんだんとレベルアップしていく。そのくらいの温度感が、結果的に長続きしている理由の一つだと思います。

Wanoで働くエンジニアに求めること 

最後に、Wanoにフィットするエンジニア像について聞いてみました。 

加藤:エンジニアという職種は常に勉強し続ける必要がある仕事なので、向上心を持ち続けられることが重要だと考えています。

あともう一つ大切なことは、コミュニケーションです。Wanoでは、黙々と一人で進めて完結するという仕事よりも、チームで確認したり相談したり、意見を交わしながら進める場面が多くあります。

そういった意味でも、高い技術を持っているということよりも、学ぶ姿勢を持ち続けて、しっかり周りとコミュニケーションをとってくれる方だと働きやすいと思います。

オープンな社風ですし、会社として何かを強制することはあまりありませんが、学ぶきっかけや、アウトプットする場は用意しています。それをどう使うかは、自分次第。でも、使えばちゃんと力になる環境だと思いますよ。

——Wanoのエンジニア文化について、詳しく読み解くことができました。ありがとうございました!

仕事中は基本スタンディングスタイルだという加藤。姿勢や肩こりが気になり立って仕事をするようにしたところ「すごくいい」とのこと。

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